「RX-7(FD3S)というクルマをひと言であらわすならば“ピュアスポーツ”ですね。コーナリング性能やトラクション性能、ボディ剛性のどれをとっても、GT系と呼ばれるグランドツーリングカーとは違う、生まれもってのスポーツカーです。このFD3Sを筑波サーキットで速く走らせるには、全てのバランスはもちろんだけど、エンジンのパワーアップは必須でしょうね。ただ、その分だけエンジンを壊してしまうリスクは大きくなる。そこで、壊れにくくするためのチューニングパーツ選びやセッティングに細心の注意をはらってセットアップしていくんです。これがウチのこだわりかな。ポイントをおさえたチューニングをすることで、実車でのノーマルタービン、ブーストアップ仕様(約400ps)でも58秒台に入れることが可能なんですよ。」（R Magic 大原）
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「タイムアタックを2周すると、2周のクーリングラップが必要になる」こういう仕様のクルマでは楽しく走ることができないし、運転にも集中できない。よって、まずは“クーリング系”のチューニングが必要でしょうね。電動ファンを低い水温から回してあげるとか、1分切りを目指すのであれば、インタークーラーとラジエターを“くの字”にマウントするタイプを装着するのも効果的です。結果として吸気温度も下がり、点火時期をリタードさせることなく、いつでもハイパワーな状態でタイムアタックが可能となります。
エンジンパワーが400psともなると、ノーマルのクラッチではスベってしまうので強化する必要があります。メタルならシングルプレート、カーボンならツインプレートで対応できます。そして筑波攻略のキモとなるのがファイナルのギヤ比。ノーマルミッションのままで、ファイナルを4.777というローギヤード化することで、バックストレートエンドを4速吹切りで、かつ、3速と4速だけで筑波を走ることができるようになるんです。シフト回数が減らせるということはシフトチェンジのタイムラグも、シフトミスしてしまう確率も減らすことができますからネ。
ボディ関係はロールケージとタワーバーの装着で剛性を高めます。ロールケージは乗員の保護という要素もあるので、サーキット走行するなら外せないアイテムですよ。そして、助手席やリヤシート、車載工具やスペアタイヤなど、走りに関係のない部品をおろして軽量化。車重を1200kg以下まではもっていきたいところですね。車体前後方向のピッチングを抑えるアンダーブレースバー等での補強もタイムアップに効果的です。サスペンション系では、走るステージとその時に使うタイヤのグリップに合わせて、スプリングレートと減衰力でセットアップしていくのは当然ですが、アライメントを最適化することで“踏んでいける足”にセッティングしていきます。
筑波サーキットはパワーサーキットだと思うんです。じつは1コーナーや第1、第2ヘアピンなど、小さなコーナーではフルチューンマシンでもライトチューンマシンでも速度差はほとんどありません。つまり、小さなコーナーをクリアしてから、次のコーナーまでの区間をいかに速く走るかがタイムを詰めていくポイントのひとつになっているんです。トラクションが確保できるならば、根本的にパワーがあるほうが有利なんです。仮に400psという決められたエンジンパワーで挑むなら、軽量化をしてパワーウェイトレシオ(車重÷馬力)減らし、より加速しやすいマシンにセットアップしていくのが正攻法ですね。
RX-7(FC3S/FD3S)、RX-8(SE3P)のロータリーマシン専門ショップとして17年の歴史を持つ「R Magic」。筑波サーキットのタイムアタックでは、2006年に“55秒947”という、FR車初の55秒台入りを果たしたFD3S“ピンク4号”を製作している。この驚愕タイムの印象もあってか、グリップマシン製作のショップというイメージが強いが、ドリフト仕様においてもD1グランプリに参戦してデータを蓄積。オールラウンドでマシンメイキングが可能なショップなのだ。代表の大原さんによる緻密なチューニング理論と、実践で磨かれたセットアップ能力を活かしたショップのコンセプトは、ズバリ「速くて壊れにくいマシン作り」!!
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