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日産 フェアレディZ バージョンニスモ タイプ380RS From JDM-OPTION [2007.12]
気になる新型車の実力チェック! 試乗レポート
日産 フェアレディZ バージョンニスモ タイプ380RS PART3
NISAN FAIRLADY Z Version NSIMO Type380RS
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乗り倒す感覚がたっぷり味わえることこそが最大の魅力
 エンジンのフィーリングは、トルクの塊。そりゃそうだ。ただでさえ低速トルクの太いVQ35エンジンを排気量アップしているのだから。動力性能はエンジン回転で稼ぐのではなくトルクの粘りで車体を豪快に加速していくフィーリング。とはいえ、エンジンは7500rpmまできっちりまわるから重い印象はナッシング。“奏でる系”のエンジンサウンドが加速感をさらに爽快にしているのも心地よかった。
 で、バージョンニスモでの最大の不満だった「パワー不足」はどうか? 結論からいうと大満足。加速もロケットみたいだけど、コーナリング中もしっかり右足で車体をコントロールできるのがいい。380RSはブリヂストンRE-01Rを装着している。RE-01Rというだけでもグリップ力は想像できるだろうけど、加えて幅が275というワイドサイズの鬼グリップタイヤだ。そんな鬼グリップのタイヤを履いているにもかかわらず、380RSはコーナリング中にアクセルを多めに踏み込むとリヤタイヤはカンタンにスライドを始める。275幅のRE-01のグリップを奪ってしまうほどエンジンが元気なんだから、楽しくないわけがない。
 ハンドリングは、バージョンニスモと同じと考えていい。コーナー進入時のノーズの入りはノーマルとは比較にならないほど鋭くなっているし、旋回中もラインをしっかり守れるキビキビした味付けだ。ステアリング操作に忠実で、ワインディングでもリズミカルに走れる足になっている。そんなサスペンションに動力性能を高めたエンジンを組み合わせたらどうなるか? 答えは、車体が軽くなったような運転感覚。俊敏性よりも安定性を求めたノーマルのZ33とはまったくちがう走り、そして速さを身につけたZに生まれ変わっているのだ。
 そして380RSでワインディングを走ってなにより楽しいと感じたのは、車体をしっかりコントロールして“乗り倒す”感覚を味わえること。たとえばランエボなんかは、すごく速くて失敗のない走りが実現できる。しかし理由はクルマが走りを制御してくれるからであって(それはそれですごいけど)、ドライバーが積極的にクルマを乗り倒しているという感覚は少ない。対して380RSは、VDCさえオフにしておけば、まるでハチロクやシルビアで走りを楽しむように、右足のコントロールに神経を集中させながらクルマを振りまわす喜びを堪能できる。
 クルマを振りまわす喜びを、速いか遅いかっていう以上にFR車に乗ることの喜びだと考えている僕にとって、ハイテクデバイスに頼らずパワーとテクニックでクルマを楽しめる380RSは最後の聖域だと思う。だって、スカイラインクーペやレクサスISといった「楽しいFR車」はあるけれど、それらは380RSほどダイレクトに振りまわせる味付けではないのだから。
 しいてウィークポイントをあげれば、2点。コーナリングの横Gに対してノーマルと同じ形状のシートではホールド性に不足を感じること。そして、標準装備のLSD(ビスカス式)の効きが甘いこと。しかしその2点は、バケットシートや機械式LSD装着というチューニングにより解決することが可能。だから、たいした問題じゃない。
 そんな380RSは、限定300台。2007年10月現在、残りは100台ほどだそうだ。販売は、全国のニスモショップでおこなわれている。
バージョンニスモから“変更なし”とアナウンスされているサスペンション。とはいえ、バージョンニスモでキャパシティが高すぎるほどだったので、パワーアップした380RSでちょうどいいバランスだ。 アーム類は鍛造アルミ製を採用。シルバーのショックと赤いスプリングがニスモの色だ。ブレーキはブレンボ製で、これはパッドも含めてノーマルZの「バージョンS」と同じものだ。
タイヤはポテンザRE-01Rで、フロント245/40R18、リヤ275/35R19とチューニングカーにふさわしいサイズ。ホイールはレイズ製の鍛造でフロント9J+30、リヤ10J+30だ。いずれも、バージョンニスモと共通。 車体の左右を連結し、入力を減衰することで走りの質感を高める「パフォーマンスダンパー」を前後に装着している。左右を繋いで固定するのではなく、適度に動かすのがポイントだ。
足元は、アルミペダルを標準装備。ヒールアンドトゥのしやすさを考慮したアクセルペダルは、ノーマルZにはないバージョンニスモと380RSの専用アイテムだ。ペダルの左下が、左に張り出している。
試乗レポーター工藤ちゃんの総括
レース直系エンジンは、ロマンという意味でも高ポイント。そしてサーキットの熱い走りとストリートでの“つき合いやすさ”を両立したクルマの完成度がすごい‥‥というのは建前で、「ソリッドに振りまわせるハイパワーFR」という走りがいちばん嬉しい。
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