レクサス IS350 From JDM-OPTION [2006.12] TOP > ムービーコンテンツ > 試乗レポート バックナンバー > レクサスIS350 > PART 3
気になる新型車の実力チェック! 試乗レポート
レクサス IS350 バージョンS PART3
LEXUS IS350 Version S
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路面に吸い付くような安定したコーナリング
 バージョンSがほかの仕様と異なるのは、18インチタイヤ&ホイールとスポーツサスペンション、そしてスポーツシートを標準装備していること。世界的に見てISのライバルは「BMW 3シリーズ」だったりするようだけど、3シリーズに「Mスポーツ」と呼ばれるスポーティ仕様があるのと同じ感覚だ。ついでにいえば、IS500と呼ばれるISのハイパワーバージョンが目指すのはM3か?
 そんなバージョンSのサスペンションは、ノーマルよりも明らかに硬い。ダンパーの減衰もスプリングレートも“バージョンS以外のモデル”とは異なっている。そして、2006年7月のマイナーチェンジで「乗り心地向上」という名目により、バージョンS以外のモデルのサスペンションがやわらかくなったことにより、その差は初期モデル以上に広がっていたりもするのだ。
 しかしバージョンSでワインディングロードを走りまわってみると、乗り心地の悪さなんかすぐに忘れてしまう。コーナー進入でステアリングをきり始める動きから立ち上がりでステアリングを戻すまで、ステアリングに変な癖がなくて実にスムーズ。たとえばライバルのBMWは、ステアリングを切るときの繊細さが気持ちいいけれど、ISだってBMWと互角、もしくはそれ以上の爽快感を持っている。そしてコーナリング中はフロントタイヤの接地感が高く、気持ちよくターンインしたあとはまるで路面に吸い付くように安定。なんらかの事情でステアリングを切りたす状況になったとしても、何ごともなかったかのように、キッチリとさらにインに切り込んでいける懐の広さも持っている。コーナリング速度(もちろんレクサスでナンバーワン)もなかなかのものだ。
 悔やまれるのは、ここまでスポーティなIS350なのに日本仕様のトランスミッションは6速ATしか選べないってこと。トルコン式ATとしてはシフトアップ時の変速時間も短いし、ステアリングを握ったまま操作できるパドルシフトがあるとはいえMTも選べればもっと走りを楽しめるのになぁ…と思ったのは事実だ。また、パドルはシフトレバーを「Sモード」にしたときのみ使用可能。最近では通常のDレンジのままでもパドルによりシフト操作できるクルマもあるのだから、走りを売りにするISにはそんな心配りも欲しかった‥‥というのはワガママすぎ?
 そうそう、ワインディングを走って気になったのは、メーカーオプションで試乗車が装着していたレーダー式の「プリクラッシュセーフティシステム」の存在だ。レーダーで前方を監視し、衝突の危険性があればシートベルトを締め付けてドライバーに知らせ、ドライバーの反応がなければ自動的にブレーキをかけるというのがこのシステムの趣旨。安全性を考えればとても効果のあるシステムだ。
 だけど、ワインディングロードをハイペースで走っていると、コーナー進入でアウト側の壁を「障害物」をして捉えているのか「ギギギギッ」という音を響かせながらシートベルトが縮み、ドライバーの体を絞めてしまうことがたびたびあった。ワインディングやサーキットを楽しみたいなら、セレクトしないほうがよさそうだね。
 いずれにしろ、このレクサスISの走りの実力はハンパじゃない。ノーマルなのにここまでワインディングを楽しめるトヨタ車(というかレクサスだけど)は今までなかったし、エンジンの気持ちよさもサスペンションの仕上がりも、世界のライバルと互角以上ドライバビリティが味わえる。アクセルを踏めば踏むほど気持ちがよく、コーナリングの安定感があまりにも高すぎて、ワインディングを走るとクルマが「もっと速く、もっとアクセルを踏んで!」と急かしているような気がするほどだったことも付け加えておこう。
ステアリングの奥には、ステアリングを握ったまままでも任意にシフトアップ/ダウンできるパドルシフトを備えている。ただし、シフトレバーをSモードに入れないとパドルは働かない。 減衰特性に優れるモノチューブショックアブソーバーを採用するなど、走りを重視した味付けの足まわり。バージョンSは専用セッティングになっている。また、フロントサスペンションにはアルミ製のアームやメンバーも採用。
試乗レポーター工藤ちゃんの総括
レクサス IS350の○と×
○
動力性能はもちろんだけど、
軽快なフィーリングもお見事。
速くて気持ちよさが◎ ×
Sレンジにしないと
パドルシフトが使えないのが
ちょっと残念かな
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