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レクサス LS600h From JDM-OPTION [2007.09]
気になる新型車の実力チェック! 試乗レポート
レクサスエルエス600h PART3
LEXUS LS600h “Version S I package”
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水を得た魚のようなハイウェイクルージング
 LS460はFRだけど、LS600hの駆動方式はAWD。とはいえそれほど凝ったシステムを組み込んでいるわけではなく、トルセン式のセンターデフを組み込んだ機械式4WDだ。通常は前後40対60だけど、加速や旋回中などは30対70から50対50程度まで状況に応じてパッシブでトルク配分をおこなうシステムである。
 そして今回試乗した「バージョンS」は、LS600hのなかでもっともスポーティな性格のモデル。超高速移動(ヨーロッパ仕様の速度リミッターは250km/hまで作動せず、200km/h以上の巡航も楽々こなせる)までを想定した高速安定性重視のヨーロッパ仕様のサスペンションを装着し、普通の日本仕様よりもハードな味付けになっている。
  タイヤは19インチで、ブレーキもワンサイズ大きいローターを組み込んでいるのが標準モデルとのちがいだ。
 とはいえ、もっともスポーティな仕様といっても、ワインディングをガンガン走るクルマじゃないのは、想像通り。2tを超える車重ではさすがに物理原則には勝てず、タイトなワインディングロードでは車体が安定しようという動きが強く、我慢の走りを強いられる。ステアリングを切り込んだ際の反応は悪くないし、4WDといっても曲がることに対して嫌な感覚はないし、アクティブステアリングはまったく違和感のない仕上がりだけど、楽しむという感覚はない。中速以上のコーナーでは安定感の高さがアドバンテージになってきて、高速コーナーでやっと本領発揮といえる。
 メインステージは、やっぱりハイウェイクルージング。まるで水を得た魚のように、恐るべきパワーとスタビリティで、その気になれば携帯電話片手にリミッターを効かせながら運転できてしまう実力の持ち主だ。ただ、注意しないといけないのはあまりの速度感のなさで、高速道路を走る際の実際のスピードは、体感速度の5割り増し以上。感覚は実際よりもかなり遅く感じるから、スピードメーターを常に意識しないとすぐに免許がなくなることだろう。
 速度感の無い理由は、圧倒的なハンドリングの安定感、振動の少なさ、風切り音の少なさと考えられる。そしてそれらは、レクサスLS600hの真骨頂といっていいと思う。
 ドイツのライバルたちは「運転する感覚」をアピールするのに対し、新参者となるLS600hは圧倒的なスムーズさと高速移動の快適さでライバルとの差別化を狙っているのだと僕は思っている。
 LS600hに乗ってあらためて感じたことは、ハイブリッドは味付け次第でパワフルかつスポーティな性格を持たせることも可能だということ。もし、もっと軽量なボディに思い切りパワーに振ったハイブリッドシステムを搭載したスポーツカーを作ったら‥‥時代に名を残すモデルになることは間違いない。
LS600hの標準設定は18インチ(9本スポーク)だが、スポーティ仕立ての「バージョンS」は19インチ(7本スポーク)を履く。タイヤサイズは前後とも245/45R19。 「バージョンS」では、ブレーキも強化されている。摩擦力を高めた高摩擦ブレーキパッドとスパイラルフィン付きのベンチレーテッドディスクを採用。
写真はフロントだが、サスペンションは前後ともマルチリンク式で、エアサスを標準装備。鍛造アルミ製のアームを使うなど、コストをかけている印象を受ける。 こちらは、リヤサスペンション。バージョンSは、想定速度を高めに設定したヨーロッパ仕様のサスペンションを標準装着している。標準モデルよりスポーティな味付けだ。
ふんだんにレザーを使った、上質なインテリア。撮影車両は「Iパッケージ」装着車なので、標準車よりも上質なレザーを使い、天井もアルカンターラ張りだ。 高級セダンにふさわしくリヤシートも上質な仕上がりで、スペースも広く快適ない移動をこなせる。しかし、LSの本質はあくまでドライバーズカーである。
試乗レポーター工藤ちゃんの総括
「スポーツか?」と問われれば、正直いえばスポーツマインド値は低いLS600h。しかし、ハイブリッドシステムのパワーとスムーズさは、これまでのクルマとはちがう異次元の感覚。高速道路での力強く快適な走りは、「敵無し」と感じるほどだ。
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