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TOP SECRET V12 Supra [JZA80] From JDM-OPTION [2007.03]
GOLD IMPULSE
TOP SECRET
V12 Supra[JZA80]
流麗で近未来的なエクステリア、そしてV12ツインターボユニットという強烈な心臓部。東京オートサロン2007を席巻した究極系チューンド『V12スープラ』は、JZA80に対するチューナー永田和彦の愛情と情熱が創造した超大作だ。
公道最高速への新たなる挑戦
 「Daiサンは公道最高速の世界から降りたけど、ボクはまだ走りつづけていくつもり。その意思表示のためにこのマシンを作ったんだ…」。光り輝くエンジンルームを見つめながら、スモーキーの名で親しまれるトップシークレット永田和彦が静かに語りだした。
 つづけて「スープラをベースに選んだ理由は単純でね、ボクにとってイチバン想い入れが強いクルマだから。そして、最高速シーンで命を乗せて走ることができる唯一の車種だからだよ」。
 スモーキーがみずからの命を賭けて挑もうとしている速域はオーバー350km/h、2005年7月にV35GT-R RX‐1で自身がたたき出した341km/hを超える世界である。それは同時に公道世界最速の記録を、つまりDaiがかつてヴェイルサイドGT-Rとともに記録した346km/hという金字塔を破るための戦いに打って出る、という意味でもある。そのためには圧倒的な“チカラ”が必要だった。
 『トップシークレット・V12スープラ』。
 そう、東京オートサロン2007に登場した金色のスーパーチューンドは、一夜限りの幻などではない。スモーキーが描く夢を現実へと導くための存在であり、命を乗せて戦うための実戦型兵器なのである。
 パワーメイキングは強烈のひとこと。軸となるユニットには直6の2JZではなく、トヨタ・センチュリーに搭載されている5LV12の『1GZ-FE』を、セミドライサンプ&ツインターボ化して換装。現状、エンジン本体はストックなのだが、それでも2機のGT-RSタービンによる過給効果と吸排気レイアウトの見直しによって、ブーストを低く抑えながらも650psというパワーを手に入れている。
 その出力を安定発揮させるためのエンジンマネージメントも独特だ。スロットルを純正の電子制御式からN15パルサー用のワイヤー式へと変更したうえ、左右バンクそれぞれにF-CON Vプロを配するという、独自のツイン・フルコン・システムを構築。
 また、純正CPを排した完全なるフルコン駆動でありながら、エアコンやパワステ等の快適装備が完全に機能していることも見逃せないポイントといえる。すべてはかつてのV35GT-R開発で培ったノウハウというが、トヨタ製の複雑なV12ユニットを完全掌握してしまうトップシークレットの技術力には、ただ感服するばかりだ。
 「チューニング適応度を考えると2JZに歩があることはわかっている。でも、理屈抜きで今回はV12で勝負したかったんだ」。
 1GZ用エンジンパーツなど皆無。ここからマシンの戦闘力を飛躍させるためには試行錯誤の連続が、まさに『イバラの道』が待っているということは誰の目にも明らかだ。それでもスモーキーは、来るべき決戦の時に向けて挑戦をつづけていく。誰のためでもない、自分の魂のために。
現状のパワースペックは暫定だ。スモーキーが最終的にねらっている出力は800psオーバー。レブリミットも純正から1000rpmアップとなる7000rpmを目標値に設定し、それを実現するために各種エンジンパーツを製作することも視野に入れている。ミッションはJZA80用ゲトラグ6速を流用している。 リヤゲ−ト内には、35LのATL製安全タンクがアルミ隔壁に囲まれて設置されている。右手に見えるのはポンプイン式のコレクタータンクだ。
すこしでもエンジン搭載位置を下げるために薄型オイルパンをワンオフで製作し、それにともない純正オイルポンプはあっさり撤去。オイルラインを引き直して新たにオグラクラッチ社製の高性能オイルポンプをエンジン外部にマウントし、セミドライサンプ化しているのだ。
SUSPENSION & BRAKE
サスペンションは、アラゴスタベースのトップシークレットオリジナル『スーパーダンパー』。また、手元のスイッチ操作で車高を調整することができる簡易エアサス『ロベルタカップ』も4輪すべてに装着されている。現状アーム類はノーマルだが、まもなくイケヤフォーミュラ製の調整式にフル変更する予定だとか。 ブレーキはフロントにグレッディー8ポットシステム(380mmスリットローター)を、リヤには同社の4ポットシステム(330mmスリットローター)を装備し、圧倒的なストッピングパワーを実現。
ホイールはトップシークレットゴールドに塗装されたボルクレーシングGTFの19インチ。タイヤはポテンザRE050で、リヤタイヤはあえて285/40-19という外径の大きいサイズを選択してハイギヤード化を図っている。
INTERIOR
助手席コンソールにおさめられたVプロおよびAF700。左バンク側のVプロで点火時期&燃調を、右バンク側のVプロでそのほかの制御をおこない、それぞれをリンクさせることでツイン駆動システムを成立させている。 メインメーターにデフィ製のスーパースポーツクラスターを採用する以外、いたってシンプルなインテリアメイク。パワステおよびエアコンなどの快適装備はもちろん、HDDナビやETCなども装着され、それらは完全に機能する。
COOLING
V12ユニット搭載によるフロントヘビー化を懸念して、3層式ラジエターは安全タンクの後方、リヤオーバーハング位置にマウントしている。 左右のBピラー後部には、ラジエターへとフレッシュエアを導くためのインレットダクトを設けたうえ、ラジエター背面にはエアを強制排出するための電動ファンを設置。エアがラジエター付近に停滞しないようなクーリングシステムが組まれているのだ。
EXETERIOR
近未来的な印象を受けるエアロパーツはトップシークレットオリジナル。オートサロンでの発表後、すでに国内外からのオーダーが押し寄せているという。ちなみにリヤテールはオリジナルのLED仕様だ。  
撮影協力:トップシークレット  043-216-8808  http://www.topsecretjpn.com/○ このページの先頭へ