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power house amuse CARBON R From OPTION [2006.08]
ノーマル比約400kgの
軽量化を果たしたライトウウエイトGT-R
power house amuse
CARBON R
今回解剖するのは、エクステリアの大部分をドライカーボンでつつみこみ、車重を限界までおさえこんだライトウエイトBNR34。そう、かつて読者からの絶大な支持を受けつづけながら、OPT連載を通して誕生した夢のチューンド『アミューズカーボンR』だ。
筑波サーキット57秒267
「RB26DETTはまちがいなく名機。でもソレを搭載するハコ、1500kgを超える車重には不満があった。だからこそRB26のポテンシャルを120%引き出せるような、ライトウエイトバージョンのGT-Rをつくろうと考えたんだよ。ボク自身が納得できる夢のチューニングカーをね」。現役を退き、現在はアミューズのショールームで静かな余生をおくるカーボンRを触りながら、生みの親である田名邉サンが語る。
 連載期間中、カーボンRに突きつけられていた『筑波サーキット57秒台』という命題は、2002年春のシェイクダウンから約2年後に達成した。当時の感触としては、同仕様のままでもコンディションさえよければ56秒台中盤も射程圏内だった。
 そんなカーボンR最大の武器は、いうまでもなく“軽さ”だ。前後オーバーハング部をバッサリと切り落としたホワイトボディに、ドライカーボン製のワンオフボディパーツをふんだんに投入。さらに、GT-Rを語るうえではずせないトルクスプリットの4WD機構を排除してFR化を敢行し、エンジンブロックのぜい肉も徹底的に削ぎ落とすなど、ありとあらゆるパートに手を入れることで、1123kgというFD3Sよりもはるかに軽量なボディが完成した。
 イマイチこの数字の持つすごさが実感できないかもしれないけれど、ノーマルのBNR34 Vスペックの車重が1560kgということを考えると、カーボンRはじつに400kg以上の軽量化を実現しているのだ。もはや尋常ではない。
 ボディ以外のパートもおもしろい。「ユーザーレベルのチューンドGT-Rで、単純に重量だけをゴッソリ軽くしたら、どれだけ速くできるかってことが、製作するうえでのレギュレーションだった」。田名邉サンのそんなコメントからもわかるとおり、カーボンRの内部スペックは意外にも完全なユーザーレベルだったりする。
 心臓部におさまるRB26DETTは排気量アップなど行わず、ヘッドのみに手を入れたうえGT-RSタービンをツインで駆動させる520ps仕様。アーム類はBNR34純正をそのまま使用し、ジオメトリーもノーマル値のままにとどめられている。
 アミューズカーボンR。無骨なドライカーボン製のワイドボディはGTマシンに限りなくちかいクオリティであることはまちがいない。しかし、内部までくまなく観察すればだれもが気づくハズ。そう、カーボンRは『レーシングカー』ではなく、正真正銘れっきとした『チューニングカー』であるということに。
DRIVE-TRAIN
ミッションはZ32用のHKS製6速ドグをセット。プロペラシャフトはZ32のミッションアウトプット側と、R34のデフインプット側をつなぎあわせたワンオフ品を装着している。マウント類はノーマルのままだ。クラッチはHKS製GDマックス、デフはATS製カーボンの1ウェイとなる。
INTERIOR
インストルメントパネルのみを残し、あとは軽量化のために完全排除。といっても田名邉サンの美的コダワリからドア内張りはドライカーボンで成形されたワンオフパネルで覆われている。シートはドライバーズ、ナビともにレカロがほこる軽量モデルのSP-Aがおごられている。
AERO DYNAMICS
フロントアンダー部にはアップスウィープが設けられ、空気を前輪車軸手前で両サイドへと流して、前輪後方から引き抜くための『通路』がもうけられている。これは昨今のレースマシンが採用しているエアロダイナミクス同様の理屈で、フロアセンターに負圧を発生させてダウンフォースを生み出すためのシステムだ。
REAR UNDER SECTION
軽量化のために純正燃料タンクは取りのぞき、トランク内に20Lの安全タンクを設置。それによってスペースの空いたリヤ下部は、ドライカーボンでフラットに成形しなおしている。またリヤからのクラッシュ対策として、トランクルームへと伸びた純正フレームは切断せずに残しているのもポイント。
Front Rear
SUSPENSION & BRAKE
サスペンションにはカーボンRの車重&車高にあわせ、リヤの伸び側減衰をじゃっかんやわらかめにセットしたトラクション性能重視のビルシュタイン製ダンパーを装着。ブレーキはノーマルのまま、パッドのみエンドレスCC-Rに変更している。アームおよびブッシュ類はBNR34用ノーマルのままだ。
SPECIFICATIONS
ENGINE&DRIVE-TRAIN  
RB26DETT改(520ps/52.13kgm)N1ピストン HKSステップ1カム(IN264度/EX256度)、GT-RSタービン×2ARC特注インタークーラー、ラジエター、オイルクーラー オリジナルチタンサクションパイプ、フロントパイプ、メガホンマフラー HKS F-CON Vプロ+アミューズ ハイテックROM ブリッツD-SBC 4WDシステムキャンセル→FR仕様 HKS GD-MAXクラッチ ATSカーボンLSD(2WAY)ファイナル4.1
SUSPENSION&BRAKE
ビルシュタインダンパー アミューズSpl(F12k R8k)エンドレスCC-R
WHEEL&TIRE
レイズGT-C(FR11H off+2)YHアドバンA048(FR265/35-18)
EXTERIOR
アミューズSplドライカーボンボディ、バージョンII GTウイング アクリルウインドウ
INTERIOR
レカロ プロレーサーSP-A(ドライバーズ)、SP-A(ナビ)タカタMPH-340Rフルハーネス atcステアリング HKSサーキットアタックカウンター デフィリンクメーター
取材協力:パワーハウス・アミューズ  千葉県木更津市桜井新町2-2-1  0438-30-0055  http://www.webamuse.co.jp/ ○ このページの先頭へ