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D1グランプリ最終戦で準優勝!! 帝王・古口完全復活 From JDM-OPTION [2007.11]
D1グランプリ最終戦で準優勝!!
帝王・古口 完全復活
3年間の沈黙を破り、伝説の180SXを始動!
ドリフト界の“帝王”の異名をもつ、古口美範選手。そんな彼のトレードマークといえば、数々の伝説を生み出した180SXだ。しかし、D1グランプリ2003年シーズンを最後に、残念ながらその勇姿を見ることはできなくなってしまった‥‥。ところが、今シーズンのD1グランプリであの180SXが復活!! しかも、富士スピードウェイでおこなわれた第2戦では5位、最終戦ではなんと準優勝に入る活躍ぶり。てなわけで、今年のD1グランプリで完全復活をとげた古口選手に、180SXを復活させた経緯から来年の抱負まで、いろいろと語ってもらったぞ。
今年のD1グランプリを振り返って‥‥
「D1は、そうカンタンにあきらめきれないもの」
 2006年は、ストリートリーガル用のJZX100チェイサーで、D1グランプリとストリートリーガルの両方にエントリーしていたんだ。そんな中、D1グランプリの最終戦でアーウィンデールスピードウェイを走ったときに、他のD1マシンとの“差”というものをハッキリと感じたんだよね。「このままじゃ決勝に出ることすらできない」って。しかも、2006年はスポンサーの撤退や成績不振が続いていたこともあって、いろいろと悩むことが多かった。正直、マシンに乗りたくないって思ったときもあったしね。だけど、D1はオレにとってそう簡単にあきらめきれるものじゃないし、どうしてもD1で勝ちたかったんだ。
 そんなこともあって、2007年はD1専用マシンで参戦しようと決心。そこで、いろいろなマシンを検討した結果、「やっぱり自分の180SXで参戦するのが最善の方法なんじゃないか」っていう結論に達したんだ。たしかに、3年間も乗ってなかったマシンだったけど、まだまだ現在のD1でも通用するはずだと思っていたからね。それに、今までの自分が経験してきたことを、自分なりの形にしてみたかったし、それができるのは180SXしかなかったんだよね。
 
復活を機に、赤に変更した180SXのグラフィックは、埼玉にあるアールズイメージに依頼。ボディサイドには、「以前のカラーリングのイメージを残したかった」ということで、はがれた部分からグリーンが見えるようなデザインになっている。

D1グランプリ第2戦の富士スピードウェイでは、ベスト8で熊久保選手と対戦。配線類のトラブルが発生して敗退してしまったが、一歩もゆずらない走りで健在ぶりをアピールした。また、5位という結果は、大きな自信につながったそうだ。

これは最終戦で準優勝したときのシャンパン。「今はこの1本しかないけれど、来年はどんどん勝って、ズラーっと1列に並べていきたいね」とのこと。
「トラブルを減らすことで、走りに余裕ができた」
 復活させた180SXは、配線類の点検やちょっとしたメンテナンスだけで、基本的に以前の仕様のままだったんだよ。ただ、今年の序盤はエンジンブローやトラブルが多くて、あまり走りに集中することができなかったんだ。まぁ、エンジンはノーマルの腰下を使っていたから、もともと高ブーストに耐えられないし、耐久性が低かったってことだよね。
 そこで、少しでもトラブルを減らしたかったから、第6戦のオートポリスから東名パワードのコンプリートエンジンを載せることにしたんだ。このエンジンは、腰下までバッチリ強化されているので、ブースト圧を最大で1.95kg/cm²までかけてもぜんぜん問題ナシ。トラブルから解放されたおかげで気持ちに余裕ができたし、安心してアクセルを踏めるようになったんだよね。それと、同じくオートポリスからNOSを投入してみたんだけど、これも効果バツグン!! ここイチバンってときや白煙を出したいときに、コレが効くんだよ。
 それから、ボディカラーを赤に変更したのは、D1じゃ見た目も大切ってこともあるけど、成績がよかったころのボディカラーが赤だったからなんだ。それに、赤いクルマって子供に人気があるでしょ。ほんと、子供の目は正直だからね。だって、カッコいいマシンの前じゃ大はしゃぎなのに、ビミョーなマシンの前じゃ‥‥無口なんだもん。(笑)
「支配人が教えてくれた、ドリフトの極意」
 今年でいちばん印象に残るシーンといえば、D1グランプリ第2戦、富士スピードウェイでの支配人(熊久保選手)との追走かな。あのときは自分自身もマシンも絶好調だったから、あれだけギリギリのドリフトができたんだと思う。まぁ、支配人に引っ張ってもらった部分もかなりあるんだけどね。(笑)
 結果は負けてしまったけど、あの場所で「楽しみながらお客さんに魅せるドリフトをする」ということを教わった気がするんだ。だからこそ、あそこで支配人と対戦できてよかった。あの時、あのタイミングで対戦できなかったら、今のオレはなかったんじゃないかな〜、なんて思っちゃうよね。
「じつは緊張しちゃうタイプなんです・・・・」
 今年は最終戦で準優勝できたし、来年のシードに入れたので、いい流れがつかめたけど、ドライバーとして、そしてマシンを作る側の人間として反省すべき点はまだまだ多いのは事実だね。具体的には、気負いすぎて失敗することが多かったから、冷静に考える走りを心がけることかな。あと、ほかのD1ドライバーって、現場の状況や流れをつかむのがホントうまくて、それをすぐに走りに結びつけることができるんだ。だから、オレも負けずにそんな力を身につけていこう、と思っているよ。
 そして、来年の目標としては、確実にポイントを取ってシードに残ること!
 実はオレってこう見えて、けっこう緊張しちゃうタイプなんだ。意外かもしれないけど、予選がいちばん苦手だったりするんだよね。だから、シードだったら予選は免除されるわけだし、気持ちの面でもラクになるかな〜、と。(笑)
 まぁ、これからもまず自分自身が楽しんで、そしてお客さんにも楽しんでもらえるような熱〜い走りをするつもりだから、来年も期待しててよ!
帝王・古口からのメッセージをムービーでチェック!!
※ムービーをご覧になるには「Macromedia Flash Player 8」以上が必要です。持っていない方はこちらから。
D1グランプリ最終戦
決勝進出までの軌跡!!
「声援があったからこそ、ここまで来れた!」
今シーズンのD1グランプリでは、第2戦の5位に入ったことをのぞけば、マシントラブルも多く、1本も走れずにリタイヤ、なんてこともあった。しかし、ファンの声援に支えられたおかげで、めげずに走ることができたという。そして、前戦までの教訓をいかし、マシンもドライバーも万全の体制で挑んだD1グランプリ最終戦・富士スピードウェイ。そこで、古口選手自身初の決勝へ進出を果たすことになる。長年の念願だったという決勝の舞台にたどりつくまでの軌跡を、1回戦から追ってみることにしよう。
1回戦
スピードと角度を
高い次元でバランス
1回戦の単走では、1本目はヘアピンでのクリップをはずしてしまうが、2本目で感覚や距離感のズレをみごとに修正。スピードと角度、そしてライン取りをうまくバランスさせた走りで、100点を獲得。また、トップスピードは参加選手中2番手となる186km/hをマークし、1回戦を3位で通過した。
ベスト16
冷静な判断により
寸前でクラッシュを回避
ベスト16では、昔から仲がいいという内海選手と対戦。結果は2本とも内海選手がスピンしてしまい、古口選手の勝利が決まった。とくに2本目では、あわやクラッシュか、という場面もあったが、「けっこうギリギリだったけど、アタマの中は意外と冷静だった」そうだ。
ベスト8
インを差しあう激戦を制し、
準決勝へ進出
「マシンも速いし、じつはけっこう苦手な相手なんだよね〜」という手塚選手とベスト8で対決。お互いにインを差しあう接戦だったが、300Rでより手前からインを差した古口選手の勝利になった。やはりNOSの効果はバツグンらしく、300Rの振り出しがいつもより手前から可能になったそうだ。
準決勝
前回の富士での対決が、
最終戦でも実現
準決勝相手は、第2戦の富士でも対戦した熊久保選手。1本目は熊久保選手がヘアピンでインに詰め寄るが、300Rでアンダーステアを出してしまい五分。そして、2本目はヘアピンで熊久保選手をオーバーテイクして完全勝利。あのオーバーテイクは、「じつは失敗してラインが小さかったから、角度をつけようと思ってアクセルを踏んだら加速したため、そのまま抜いちゃった」とのこと。
決勝
ついに自身初となる
決勝の舞台へ・・・・
今まではお客さんを楽しませる走りに徹してきたというが、「勝ちたい」という欲がでてしまい、1本目の300Rで痛恨のコースアウト。じっさい、コースアウトしたときは“クラッシュ”、“廃車”という2つの言葉が頭の中をよぎったそう。でも、「お客さんの前でクラッシュするなら派手にいこう!」とアクセルを全開にしたところ、奇跡的にコースへ復帰。しかし、1本目のコースアウトがひびいて準優勝という結果になったものの、帝王の名にふさわしい熱い走りは、見るものに感動を与えた。
   
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