S2000 ストリートチェック From OPTION[2006.06] TOP > web マガジン > 特集 バックナンバー > S2000 ストリートチェック

J'S RACING | TRACY SPORTS | IMPACT! | AUTO STUDIO CREW | TRIAL
超快感S2000
ストリートチェック
関西編
走る楽しさ満載のFRスポーツが大集合だ!
前号での予告した通り、今回は関西ショップが手がけたチューンドS2000をワインディングでイッキ試乗しちゃうゾ! 関東編に比べて、よりサーキット指向が強い関西系マシンは刺激度タップリ。軽量マシンあり、ワイドボディありの5台を現役GTドライバー&ワインディングファイターのシャーク井入が激走インプレッションだ!
J'S RACING
サーキットでも好タイムを連発する
ジェイムス流ストリートチューンの集大成
吸排気+CPチューンで実測40psアップ
VGSにあわせたサスセッティングにも注目だ!
”曲がる、止まる、加速する”三拍子がそろったメイキング
 関西S2000ストリートチューンのトップバッターは、ホンダ車専門のチューニングショップ、ジェイズレーシングが手がけた1台。エンジンから足まわりにいたるまで、オリジナルパーツがフルに組まれた仕様だ。
 まずエンジンは吸排気&CPチューン…と聞くと、かなりライトな仕様に思えるけど、そこにはジェイズのノウハウが満載されている。なかでも何種類も試作品をつくった上で形状を決めたというエキマニは、2Lのまま2.2Lなみの低中速トルクを実現。だれが乗ってもハッキリと体感できるほどの性能アップが図れるという自信作なのだ。そんなエキマニにあわせてVTECの作動ポイントをノーマルの5850rpmから5400rpmに変更。それによってノーマルでは低速カムから高速カムへの切り替わりで発生するトルクの落ちこみをキレイに消している。
 いっぽうVGS(可変ステアリングギヤレシオ)仕様の特性にあわせたサスセッティングも見どころのひとつ。というのもVGSはとくに低中速コーナーでの挙動がシビアになりがちで、それを解消するために独自のアプローチがとられているのだ。カギになるのはまずスタビライザー。フロントは強化してロール剛性を高め、逆にリヤは弱くすることでロールを発生させる方向にむかわせる。さらに、リヤダンパーの伸び側減衰力をやわらかくしてイン側タイヤの接地性を向上させると同時に、LSDのイニシャルトルクを6kgm前後にセット。つまり、リヤを安定させることで、ステアリング&アクセル操作や路面状況に対する唐突な挙動の発生をおさえこんでるワケだ。


エアロキットはすでに300セット以上が販売されたというジェイズのタイプSカーボンフルエアロ。さらに、冷却性能を高めるカーボンボンネットタイプVや、高速域でカクジツなダウンフォースを得られる3D GTウイングタイプ2などもジェイズのオリジナルパーツとなる。
デフオイルクーラーの装着で油温はノーマルの220度から、真夏のサーキット走行でも120〜140度で落ちつくようになる。結果、LSDの効きが安定するためタイムが落ちず、オーバーホールのサイクルも半年に1回から2年に1回となるなどメリットは多い。 ジェイズオリジナルのツチノコチャンバーやSPLエキマニ、サーキットマフラーチタン70RRなどで吸排気系をチューン。レブリミットは9000rpmから9200rpmに引きあげられ258ps/24.4kgmをマークする。
クラックスベースのジェイズオリジナルショック。基本的にバネレートは前後20kg/mmだけど、ストリートでの快適性を考えて16kg/mmとされる。そのほかSPLアルミピロアッパーやキャンバージョイントL2、ピロタイロッドエンドなどオリジナルパーツを多数装着。
バランスを崩さないチューニングを心がけとるよ
ジェイズレーシング
梅本サン
「ストリート仕様として完成度の高いクルマは、そのままサーキット走ってもいいタイムが出せる。そんなウチのコンセプトをカタチにしたのがこのS2000なんですわ。ベストはセントラルで1分27秒前半、鈴鹿で2分26秒だから、なかなかのタイムでしょ?」
シャーク井入'S チェック
ツボをおさえたチューニングでピーキーな動きが消えとるね!
 ノーマルのVGS仕様は、足まわりもふくめてよりスポーティなハンドリングを楽しめるようにセッティングされとるんやけど、ステアリング操作に対する反応がちょっと過敏すぎる。個人的にはVGSナシのほうが違和感なくて好きやけど、ジェイズのS2000は前後のバランスがよくとれてて、コーナリングもすごく安定しとるね。足まわりがしっかりストロークしてくれるから、VGS仕様にありがちな不安定な挙動はほとんどかんじられない。

 それからブレーキはパッドを交換しただけやけど、制動力もコントロール性も申しぶんなし。ノーマルキャリパーでもかなりのところまでイケるよ。
 足とブレーキがしっかりしとるから、エンジンは吸排気とCPチューンだけでじゅうぶん楽しめる。というか、エンジンに関しては、まずこれくらいの仕様をじっくり味わってほしいと思うなぁ。いずれにしても、ジェイズのS2000は「スポーツ系をめざすとこういうつくりになる」っていうイイお手本だと思うよ。

取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市畑田町10-17 072-645-3500 http://www.jsracing.co.jp ○ このページの先頭へ


TRACY SPORTS
ボディ作りから足まわりセッティングまで
レースからフィードバックされたノウハウが自慢!
スタイリングだけじゃなく速さに効くワイドボディ!
これでベースは整ったこれからの進化に期待大!
 トレーシースポーツが持ち込んだ今回のS2000は最強の街乗り仕様としてワインディングはもちろんのこと、サーキットでのタイムアタックも視野に入れて進化を続けているマシン。まずはシャシーまわりの強化と、オリジナルのワイドボディキットの装着などを行って今後のパワーアップに備えているのだ。
 このボディキットを装着するとフロントが片側40mm、リヤが片側50mmほどワイド化されるんだけど、特にリヤのワイドトレッド化はコーナーリングスピードのアップに絶大な効果があるということ。もちろん、単にトレッドが広がるだけでなく265サイズのタイヤもラクに履けるようになるし、ホイールの選択幅も増えるというメリットも見逃せないだろう。さらに、車幅だけでなく空力特性を改善するために100mmほど延長されているので機能はもちろんのこと、ルックス的にも大幅なイメージチェンジに成功しているのだ。
 この他にもオリジナルのダッシュ貫通の10点式ロールケージの装着やS2000の泣きドコロであるフロントアッパーアーム取り付け部の強化やメンバーの補強、ドライブシャフトの加工などもバッチリ対策済み。足まわりやブレーキ関係などもすでにチューニングされているので今回は本番用の2.3Lエンジンが間に合わず2Lのライトチューンエンジンでの登場となったが、すでにシャシー側は完成形に近い仕上がりとなっているのだ。
 レース活動から得たノウハウを活かして作り込まれただけに、細部の作り込みには目を見張るものがある。


タイプGTと呼ばれるこのワイドボディキットの価格は48万円(GTウイングを除く)となっている。ストリートで使うには公認車検が必要になるが、機能とスタイリングを両立した自信作なのだ。
サーキットでは速さの原動力となり、ストリートでもエクステリアの重要なポイントとなるようデザインされたというワイドボディキット。インテリアにもオリジナルのカーボンコンソールを装着するなど、速さだけでなくカッコよさにもこだわっているのだ。 このエンジンはあくまで暫定仕様なのだが、オリジナルのビッグスロットルなどでキッチリと仕上げられている。さらにバルクヘッドからストラット部へ補強が入っているのにも注目だ。
テインのスーパーレーシングに前後とも16kg/mmのスプリングを組み合わせる。ブレーキはフロントにエンドレスの6ポット、リヤはノーマルキャリパーながらバランスを取るために特注されたパッドを使っている。 ボディ補強はある程度のレベルまでならば決して必要というワケじゃないということだが、このマシンは念入りに行われている。このあったりもレース活動から得たノウハウが存分に活かされている部分なのだ。
エンジンが仕上がればまだまだイケますよ!
トレーシースポーツ
山本サン
「今回は暫定エンジンでしたが、製作中の2.3Lエンジンが完成すればサーキットアタックも行いたいと思ってます。ただし、あくまでサーキットオンリーじゃなく、余裕のパワーを活かしたフル装備のストリート仕様というのがこのクルマの狙い。ステージを選ばないオールマイティなクルマに仕上げたいと思ってます」
シャーク井入'S チェック
シッカリ感のあるハンドリング完全にシャシーが勝っているね!
 ロールケージはガッチリ組まれているし、よく見ればエンジンルーム内にもシャシー補強が入っているくらいだから激しいフィーリングを予想してたけど、これが実に乗りやすい。恐らくワイドトレッド化が効いてるんやろうな。ステアリング初期の軽快感は落ちていないからリズムはつかみやすいし、それでいてリヤが暴れないから乗りやすいんや。
 とにかくシャシーがシッカリしているから足まわりがよく動いて、今回は19インチのでっかいホイールやったけど乗り心地もナカナカやね。うーん、このシャシーなら足まわりをもっとハードにしてもイケるんとちゃうかな。

 そしてエンジンも決して悪いフィーリングじゃないんやけど、他がキッチリできているだけにもっともっとパワーが欲しくなる。まぁ、それはこの先に待っている2.3Lエンジンに期待するとして、まずはシャシー関係を作り込んだこのマシンはかなりのポテンシャルやと思うで。


取材協力:トレーシースポーツ 大阪府摂津市鳥飼本町1-12-14 0726-54-9424 http://www.tracysports.net/ ○ このページの先頭へ


IMPACT!
オリジナル2.4Lキットを組んだF20Cは
現状で280psオーバーという未完の大器
“街中で楽しく乗れる”をコンセプトに
S2000の新しいスタイルを提案する!
スポーツカーである以上はまずカッコよさが重要だ!!
 高回転型エンジンF20Cを搭載したFRマシンだけにS2000のチューニングというとどうしても”速さ”を求める方向に進みがち。そんななか、まず“カッコよさ”を優先し、オトナが乗って楽しめるスポーツカーをめざしたのがインパクトのS2000だ。
 その核になるのは、オリジナルのワイドフェンダーGTボディキットバージョン01で、フロント9Jオフセット+22&リヤ10Jオフセット+15というGT-Rサイズのホイールをすっぽりと飲みこむ。見ための迫力がますのはもちろんのこと、機能的にはワイドトレッド化によってマイルドなハンドリング特性を実現。さらに、足まわりには乗り心地を重視したオーリンズベースのオリジナル車高調を組むことで、コーナーを攻めるよりも、高速をクルージングするのが似合うロードゴーイングカー的な性格を強めている。
 とはいっても、見ためだけでおわらせないのがインパクトの真骨頂。性能面でもおさえるところはキッチリおさえる! をモットーに、まずオリジナルキットで排気量を2.4Lに拡大。スロットルやエキマニ、燃料ポンプ&インジェクターなどもオリジナルパーツが装着される。ちなみにシャシダイ上ではクラッチをすべらせながらも、すでに280ps以上をマーク。エンジン本体としてはカクジツに300psオーバーというスペックを誇っているのだ。
 チューニングレベルとしては、今回取材した5台のなかでもっともハードといっても差しつかえない。ただ、それはサーキットでコンマ何秒を争うためではなく、あくまでもストリートでの乗りやすさをねらってのこと。インパクトS2000で新しいのは、なによりもその考えかたといえるだろう。


GTボディキットバージョン01はフロント片側20mm、リヤ片側25mmのワイドフェンダーを軸に、前後バンパーとサイドステップがふくまれる。とくに、ホイールアーチから後方にむかって切れあがるリヤバンパーのデザインが独創的。
下半分をえぐってタイヤハウス内の空気がスムーズに抜けるよう設計されたフロントフェンダー。空力性能の向上が図れるだけでなく、GT-Rサイズのホイールも装着できるようになるなど、機能性とデザイン性が高いレベルで両立されている。 ストロークを100mmとすることで2.4Lを実現したオリジナル排気量アップキットが組まれるF20C。ヘッドまわりでは燃焼室形状の変更やポート加工にくわえ、戸田レーシングのハイカムが組まれる。CPはF-CON Vプロだ。
車高調はオーリンズ製インパクトスペックで、前後ともバネレート11kg/mmのベステックス製スプリングが組みあわされる。また、ブレーキはフロントキャリパーをスプーンのモノブロック4ポットに交換。パッドは前後とも制動屋GT600だ。
GTカー的なクルマをめざしました
インパクト
財田サン
「ワイドボディキットにしても2.4Lキットにしても、製品化したイチバンの目的は“S2000をより乗りやすいクルマにする”というところにあるんですよ。ほかのショップさんとはちょっとねらいどころを変えることで、それがウチの個性になれば…と思ってます」
シャーク井入'S チェック
アクセル踏んだ瞬間のトルク感はさすが2.4Lやね!
 まず“オトナが乗って楽しめるスポーツカー”S2000っていうコンセプトがオモロイね。はノーマルでも相当にトンガってるクルマだと思うんやけど、それをあえてマイルドな方向に振ってるんやからね。
 ただ、足まわりはマイルドで乗り心地がいい反面、Sタイヤに対しては完全に負けとる。ストロークが長すぎて、リバンプしたときタイヤが接地しなくなってまうんよ。このセッティングならハイグリップラジアルのほうがマッチングはええやろうし、逆にSタイヤのままいくなら減衰力やバネレートをもうすこしあげてやりたいところやね。

 エンジンは2.4Lに排気量アップされてるから、アクセル踏みこんだ瞬間やVTECが高速カムに切り替わったときのトルク感がスゴイ。まだまだセッティングを煮つめる余地があるにも関わらず、相当なパフォーマンスを見せてくれたんやから。もちろん、可能性はじゅうぶんにあると思うよ。これからが楽しみやね。
取材協力:インパクト 大阪府大東市中垣内7-9-3 072-874-0595 http://www.impact-magic.com/ ○ このページの先頭へ


AUTO STUDIO CREW
タイトなワインディングを攻め込める
スタビリティの高いワインディングファイター
2.2Lキットでエンジンパワーは十分
ハイレスポンスの実戦派チューニング
安定感ある走りの秘密はリヤサスペンションにアリ!
 ウェーバースポーツのフルエアロにボルテックス製GTウイングというスパルタンなルックスを持つオートスタジオクルーのS2000は現役のワインディングマシン。今でも関西方面の峠をバンバン走り込んでいるというマシンなのだ。
 エンジンに関してファクターオリジナルの2.2Lキットでパワー&トルクをアップ。現在290psをマークするというエンジンはロングストローク化がされているにもかかわらず、ノーマルと同じく9000rpmまで使っても大丈夫という耐久性の高さも誇っているのだ。
 この排気量アップキットの価格は44万8000円ということだが、ピストン/クランク/コンロッドなどが全てリフレッシュされるのでOHを兼ねて組み込むというのもアリ。このマシンの場合、カムはノーマルながらエキゾースト側のバルタイを変更することで幅広いトルクバンドを実現しているのである。
 そして足まわりに関してはワインディングでペースを上げていくとどうしてもリヤがナーバスになるのを解決するため、オリジナルのリヤスタビやサスペンションメンバー加工を施している。これによってかなりリヤの安定感がアップし、コーナーの進入や切り返しでも姿勢が乱れることが少なくなって乗りやすくなったというのだ。
 しかし、このマシンはまだまだ完成形ではないという。足まわりはリヤの良さをもっと活かすフロントのセッティング探るということだし、エンジンもまた違ったコンセプトでチャレンジしたいということだった。


ウェーバースポーツのフルエアロにボルテックス製のGTウイングを装備。オーバーフェンダーは装着されていないが、フェンダーは前後ともに叩き出されているということだ。
オリジナルのRISE車高調にチタンスプリングバージョンで、こちらも要注目だ! 減衰力は従来と同じく30段階調整となっている。 2.2L仕様とされたエンジンは9000rpmまでガンガンまわしても今のところトラブルはないという。逆に2Lのまま1万rpm仕様なんていうのも面白いのではないかと考えているそうだ。ちなみにエアクリーナーは左フェンダー内に移設されている。
今回のマシンは前後とも12kg/mmのスプリングをチョイス。タイヤはA048(255/40-17)をワインディングでも常用しているということだった。
S2000はイジり甲斐がありますね!
オートスタジオ クルー
伊藤サン
「S2000はアームの根元を補強しておいてやるなどの強化も忘れちゃいけません。足まわりはこれからまだまだ改良する予定ですが、今の仕様でも乗りやすいって言ってもらえたので良かったです。ほんと、このクルマはやればやるだけイロイロ乗り味が変わってくるので楽しいですね」
シャーク井入'S チェック
実戦派って感じのマシン作りエンジンもパワフルで楽しいゾ!
 このマシンはね、前に何回かワインディングで会ったことことがあんねん。その時はちょっとリヤのスタビリティが低いんとちゃうかな? なんて思っていたんやけど、リヤまわりをかなりイジったらしく、見た目とは違ってかなり乗りやすいマシンに進化していたよ。ワインディングでは乗りやすさも重要やからね。
 こうなってくると今度はもっとノーズの入りをよくしてもイイ。そうすればハンドルを切っている時間が短くなって逆に立ち上がりが安定すると思うなぁ。

 LSDはロックタイミングを少し遅めにしているということだけど効きもじゅうぶんでオレ好みだし、エンジンに関してはパワーもトルクもバッチリ出てるからこれでじゅうぶん。トルクがあれば軽量化してないフル装備のまんまでもぜんぜん走れるね。
 サウンドは豪快だし、ルックスはハデだけど実はとっても乗りやすく仕上げられたマシンの戦闘力はかなり高いよ。
取材協力:オートスタジオ クルー 大阪府堺市浜寺石津町西4-29-4 072-245-1239 http://www.as-crew.com ○ このページの先頭へ


TRIAL
シンプルなメニューでS2000をチューニング
好バランスで多くのひとが楽しめる味つけ!
足まわりにこだわって
限界域のコントロール性をアップ
誰もがチャレンジできるライトチューンの定番メニュー
 今回集まった中では比較的ライトなメニューのトライアルS2000はエンジンは吸排気のみのチューニングとなっているが、それでもパワーは実測で255psをマーク。これだけのパワーが出ていればとりあえず走りを楽しむ上で不足はないとして、この他には耐久性アップを中心としたチューニングを施しているのが大きな特徴だ。
 とくに国産きっての高回転ユニットであるF20Cはオイルまわりのトラブルは致命傷となってしまうだけにオイルクーラーの追加やバッフルプレート入りのオイルパンの装着など、オイルまわりの対策にぬかりはない。同時に大容量ラジエターへの交換なども行われているからトライアルが定期的に行っているようなサーキット走行会でもトラブルを心配しないですむようになっているというワケなのだ。
 そして注目の足まわりはクァンタムのトップモデルであるCRをベースとしたトライアルバージョンを装着。これは幅広い減衰力調整範囲を活かして、ワインディングからサーキットまで対応することができるということだが、ダンパーの初期の動きがよいのでストリートでも問題ない乗り心地を確保しているのだ。
 さらに走りを楽しむ上で重要となるブレーキもフロントにスプーン製の4ポットキャリパー装着し、ボディ剛性と安全性のアップをかねてセーフティ21製のロールケージも装着。決してハデなメニューではないのだが、ポイントを押さえることでS2000をより楽しめるようにチューニングされているのだ。


フェンダーは叩き出しているが、GTウイングも装着されていない。ボンネットだけはクーリング性能のアップを狙って交換されているが、ストリート仕様としての基本形ともいえるシンプルなエクステリアとなっている。
サーキット走行に備えて6点式のロールケージを装着しているが、ソフトトップは使用可能。シートはオリジナルのレカロGT-IIレッドファルコンだ。 定番の無限製エアクリーナーやエキマニ、さらにARC製のチタンマフラーなどによる吸排気系のみのライトチューンながら、大容量ラジエターをはじめとして耐久性アップは念入りに行われているのだ。
クァンタムのトップモデルCRをベースとしたオリジナルで、スプリングレートはF12&R14kg/mm。減衰力は高速側と低速側を個別に調整することができるのでセッティングの幅は広く、よりSタイヤ向きにもアジャストすることができる。
軽快なハンドリングを楽しんで下さい
トライアル
川端サン
「ウチはあまりホンダ車チューンのイメージがないかもしれませんが、数多く手がけているんですよ。このS2000は過激なスペックではありませんが、楽しさは十分に味わってもらえると思います。今回は足まわりは好みに応じて仕様変更も自由自在ですし、走るステージに合わせてセッティングできるのでどんどん相談して下さい」
シャーク井入'S チェック
S2000の楽しさは速さを求めるだけじゃない!
 このS2000は決してモノ凄いチューニングが施されているってワケじゃないんやけど、ワインディングを気持ちよく走るという意味ではじゅうぶんな仕上がりやね。排気量アップしたクルマなんかと乗り比べちゃうとパワーも驚くほどあるわけじゃないねんけど、上までストレスなく吹け上がってホンマに気持ちイイ。コストを最小限に抑えつつ「ホンマにS2000って楽しいクルマなんやな」って再認識させてくれる。
 足まわりは前後のバランスがイイんだけど、ちょっとタイヤの方がオーバーキャパ気味だから、今回みたいにSタイヤじゃなくてこのセッテリングだったらハイグリップラジアルの方がマッチングはイイかも。速さだけならSタイヤで決まりやけど、楽しさを求めるならハイグリップラジアルの扱いやすさも捨てがたいところだし、恐らくハイグリップラジアルにすればフロントの引っかかりがなくなってさらにコントローラブルになると思うよ。

取材協力:トライアル 大阪府堺市美原区丹上87-1 072-369-3539 http://www.trial.co.jp ○ このページの先頭へ