負けず嫌いな性格が転じてドリフトの世界へ By 日比野哲也 [2006.11] TOP > web マガジン > コラム バックナンバー > 日比野哲也
D1ドライバー・日比野哲也
負けず嫌いな性格が転じてドリフトの世界へ
ドライバーのコラム第5回目は、2004年のD1グランプリ第3戦エビスで「ジャンピング・ドリ」を決めて会場を興奮の渦に巻き込んだ日比野哲也選手にスポットを当ててみたよ! もともとドリフトに全く興味がなかったそうだけど、どういう経緯でこの世界にどっぷりつかることになったのか? そのあたりをじっくりと聞いてみよう。
プロフィール
日比野 哲也(ひびの てつや) 所属チーム:サンライズ/マーキュリー・レーシング
生年月日:1974年4月10日 血液型:RH+B D1グランプリ初参戦:2002年第6戦
出身地:愛知県 職業:サンライズ代表/ドライバー
D1グランプリ最高位: シリーズ6位(2004年)
※2006年11月現在
実はクルマには興味がなかった!?
 ど〜も! 日比野哲也です!! 今回はボクのプライベートやドリフトに対する思いを語ってみようと思います。
 ところでボクの本業はというと、愛知県にあるサンライズっていうショップの代表。設立してまだ3年しかたってないショップなんだけど、もとは自分専用のプライベートガレージとして作った場所だったんだ。そんな流れから、いまでも商売商売している感じじゃなくて「走り屋仲間が集まってくる場所」ってな、暖かい雰囲気が自慢のショップなんだよね。
 ちなみにボクは、クルマが好きでドリフトをはじめたってワケじゃないんだな。バイクに熱中していた時期には「ドリフトしてるクルマって邪魔だなぁ」なんて思ってたくらいだったからね。(笑) つまりはボクの場合、もともとはドリフトどころかクルマにも興味がなかったってこと。18歳になってはじめて所有したクルマは、バイクを積んでサーキットにいくためのトランスポーターだったくらいだからね。

「勝つ」まで絶対にやめない!!
 ボクのモータースポーツとの出会いは16歳のとき。スポーツタイプのバイクを買ってからというもの、毎日のように仲間と一緒に峠に通って腕を磨くことに専念してたんだ。徐々にではあるけど、高度なライディングテクニックを覚えてくると、今度は「レースに出て速さを競ってみたい」って興味が出てきてさ。それからはサーキットへ頻繁に通うようになって、生活はバイク一色。いま思ってもバイクにはすごくはまってたんだよね。
 ところが、クルマの免許がとれる歳になると、まわりのバイク仲間はみんなバイクを降りて、クルマの走り屋に‥‥。ただ、ボクには「やり残したことがあるなぁ」って気持ちがすごくあって、そのままバイクに乗り続けていたんだ。そのやり残したことというのは、バイクレースでの「優勝」ね。その目標を達成するために、意地でもバイクレースに出場し続けて、最後はもちろん「優勝」をゲットしてきたゼ!
 ただ、峠やサーキットで、バイクにガンガン乗ってると大怪我しちゃうってよくきく話でしょ? ボクの場合も例外なくやっちゃったんだよね。左右の膝のじん帯を2回づつ伸ばしちゃってさ。21歳のときだったか、最後の事故のときに3ヵ月間ギブスを巻くことになって、会社へ行くこともできなくなって‥‥。いろんな意味で「これはもうそろそろヤバいかな」って思ってさ。そこでようやくバイクを降りる決意をしたんだ。
 ちょうどその頃、ドリフトをしている友達の横に乗る機会があってさ。その友達は、昔バイクで一緒に走っていた仲間なんだけど、想像していたよりもドリフトが上手くってね。バイクの世界ではボクよりも遅い友達だったから、ドリフトを決めているのを見ても「だったらオレならもっとうまくできるだろう!」みたいな根拠のない自信が湧いてきて、それでドリフトをはじめようって思ったんだ。バイクでの怪我のこともあったんだけど、これがクルマの走り屋へ転向するきっかけになったことは確かだね。

教えなくていい、ただ横に乗せてくれ
 いち度やると決めたら、とことんやらなきゃ気が済まないボクの性格。ドリフトをはじめようって思ったその日に、友達に頼んでクルマを探してもらったんだ。それがスポーツカーとして最初に所有したハチロク(2ドア・レビン)との出会い。
 とりあえず買ったままの状態で走りに行ったんだけど、ドリフトのドの字も知らなかったから、当然なにもできないままシェイクダウンは終了。あとでわかったことなんだけど“LSD”すら入ってない、ほんとにノーマルのハチロクだったんだよね。そんな感じで、クルマをどうチューニングしたらいいのかもわからない状況でのスタートだったんだ。
 でも、まわりにいたひと達がいろいろやってくれて、どうにかドリフトができる仕様にこぎつけたという感じだったね。 で、クルマに関してはいちおうの形になったけど、ドリフトのテクニックはまた別の話。「わからないから教えて!」って、素直に聞けばいいものを、負けず嫌いというか変なプライドが邪魔をして、友達からは教わりたくなかったんだよね。基本的に「こうして、こうすれば、こうなるでしょ」って感じで教わるのって好きじゃないし。だから「教えなくていいから、ただ横に乗せてくれ。そしたら勝手に覚えるから」なんて、横に乗せてもらってひたすら勉強してました。(笑)
 ある程度ドリフトができるようになってからは、自分でいろいろと研究するようになってきたね。ハチロクの「非力」という弱点を認知しつつ「軽量だからコーナーは速い」というアドバンテージを、いかに有効に使うかをひたすら考えて走ってた。その考え方のベクトルは、D1で戦っているいまでも同じ。
 結局、いままで何10台ものクルマに乗って試行錯誤してきたけど、やっぱり行き着くところはハチロク。ボクはクイックでシャープなコーナリングができるクルマが好きだからね。だからハチロクにSR20DETを載せたD1マシンでも、リヤはリジットのまま! このハチロクで自分らしい走りができれば最高だよね。

トコトンはまっちゃうタイプなんです
 プライベートな話になるんだけど、ボクっていろいろなことに興味をもつ性格でさ。いち度はまると、それにゾッコンになってトコトンやってしまうタイプ。だから、なるべく新しい趣味は作らないように心がけているんだ。
 実は「ゴルフやってみたいなぁ」な〜んて気持ちもあるんだけど、ゴルフにはまっちゃったらドリフトが疎かになっちゃいそうな勢いだから、ここはグッと我慢!
 そこまで時間を使わないですむ、ライトな趣味といえば「知恵の輪」だね。知恵の輪って、いい感じに頭の体操になるらしいからね。ちょっとした時間があるとカチャカチャやってるから、持っている知恵の輪は完璧にマスターしちゃったよ。そうそう、漫画本も大好きだなぁ。今でも月に10冊以上は買ってきちゃうくらいだからね。家にある漫画本は2000冊は軽く超えちゃってるんじゃないかな? このままいけば将来は漫画喫茶が作れるくらいの量になっちゃうだろうね。(笑)
 とまぁ、いち度なにかのことに目を向けると、とことんはまっていく性格だから、今はドリフトを大事にしています。「ドリフト」というものに満足がいくまでは、別のなにかをはじめようってことは思わないように心がけていますからね。

進入速度命!
「日比野哲也=エビスのジャンプドリ」って印象があると思うけど、そのもととなった走りがボクにとっては想い出の1戦。それが2004年のD1グランプリ第3戦、エビスサーキットで野村選手と走った決勝戦なんだ。
 あの時も非力なハチロクでどうやって野村選手を攻略しようかって考えてて、いきついた結論が「とにかく誰よりも速い進入スピード!」だった。スピードを出すことは全然怖くないから、豪快に、楽しく走ってやろうって気持ちで戦った1本だったんだ。結果は負けてしまったけれど、ボクとしては最高の走りだったから悔いはなかったね。
 コーナーへの進入速度が速いドリフトスタイルで走っていて「怖くないの?」って聞かれることもあるけど、怖くないっていったらウソになるかな。限界域の速度でコーナーに突っ込んでいくとき、きちんとセットアップしたつもりのクルマでも、思うように動いてくれないことが稀にあるんだ。「もうダメかも!」って思って、景色がスローモーションになって見えちゃうときは、やっぱり怖いもんだよ。あっ、あと友達の隣に乗ってドリフトされてるときは、いつも怖い思いをしてるか!(笑)
 というわけで、これからも今までと同じように「ワークスに立ち向かうプライベーター」として、D1グランプリとストリートリーガル、どちらも精力的に取り組んでいきます!
 それとドリフトだけじゃなく、グリップ走行でも速いドライバーになりたいと思ってるんだ。ドリフト、グリップの両方が上手くできて、はじめて「運転がうまいひと」って思っているからね。とにかくどんなステージで走っても、自分らしい走りをしていくので、これからも応援よろしくね!
D1グランプリ・ストリートリーガルの両方に参戦している日比野哲也選手。2004年のD1グランプリ第3戦、エビスサーキットでジャンピング・ドリを決めた。その熱い走りのAE86で、観客はもちろんのこと、審査員の度肝まで抜いて一躍有名となった。
日比野選手といえばAE86のイメージが強いが、D1ストリートリーガルには、S14シルビアで参戦している。クルマはちがえど進入スピードと迫力のある走りは健在だ。
愛知県にあるショップ、サンライズでオーナーを務める。もともとは日比野選手が自身のためにと作ったプライベートガレージ。そんな背景からか、いまでも多くの走り屋仲間などが集う和気あいあいとした場所となっている。
D1車両であるハチロクのセッティングは常にメカニックと相談しながら詰めていく。日比野選手がサーキットを走り、そのつど細かな仕様変更をメカニックにオーダーするという図式でマシンを仕上げていくのだ。
数々のトロフィーは日比野選手の想い出として並べられている。トロフィーをながめて過去の1戦を思い出すこともよくあるそうだ。ちなみにドリフトだけでなく、グリップでもトロフィーを取るほどの腕前だ。
考えごとをすることが多いという日比野選手は、ときに「知恵の輪」を使って頭をリフレッシュ。体だけでなく、脳を鍛えるのも趣味(!?)なんだって。
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応募期間:平成18年11月1日(水)〜11月30日(木)

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関連リンク
・JDM-OPTION D1グランプリ速報
・D1グランプリオフィシャルサイト
・マーキュリー オフィシャルサイト
・ダンロップ オフィシャルサイト
・KOYOラヂエター オフィシャルサイト
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